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<東海第二原発 再考再稼働>(33)高裁逆転なら世論反発 はんげんぱつ新聞編集長・西尾漠さん(74) 2021.7.30. (東京新聞)
今までの原発訴訟の判決は避難計画の不備

を理由にしてこなかったわけだから、東京高裁

が同じ理屈を取ればひっくり返されるだろう。

 原発の建設や運転に反対する全国の住民運動などを報じてきた月刊紙「はんげんぱつ新聞」(一九九三年九月までは「反原発新聞」)の編集に、七八年五月の創刊時から携わってきた。

 創刊号のトップ記事は、四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の設置許可取り消しを求めた地元住民らの訴えを退けた七八年四月の松山地裁判決について。後に続く原発訴訟の先駆けとなった裁判だ。係争中だった日本原子力発電東海第二原発(東海村)の設置許可取り消し訴訟の原告団に、伊方判決への抗議声明を寄せてもらったのを思い出す。

 東海第二の訴訟七三年十月に始まり、日本初の百万キロワット級の大型原発だったこともあって注目を集めた。私は裁判の中身にはそれほど深く関わっていないが、何度か傍聴にも行き、水戸地裁と東京高裁の判決は法廷で聞いた。

 水戸地裁には、はんげんぱつ新聞の初代編集長だった高木仁三郎さん(原発批判の理論的支柱だった在野の科学者。二〇〇〇年死去)も証人として出廷。国の安全審査体制の不備や核燃料サイクルの危険性について証言した。




 原告は八五年六月に敗訴。設置許可に当たって、核燃料の製造や使用済み核燃料の再処理、原発の廃炉といった核燃料サイクルの全体を安全審査の対象とするべきだといった原告の主張について、判決は「傾聴に値する考え方である」などと認めたものの、それは司法の問題ではなく国会が決めるべきことだという「立法論」に逃げ込んだ。はんげんぱつ新聞は「東海訴訟判決をどう読むか」という三回の連載で、判決のポイントや問題点を詳しく解説した。

 〇一年七月、控訴審でも原告が敗れた。最高裁は〇四年十一月に上告を棄却し、原告敗訴が確定した。

 東京電力福島第一原発事故後の一二年七月、改めて東海第二の運転差し止めや設置許可の無効確認を求める訴訟が水戸地裁に提起された。

 今年三月の判決は、実効性ある広域避難計画の不備などを理由に原電に運転差し止めを命じた。いわゆる原発推進の人たちも中身については否定できない画期的な判決で、高く評価している。四月のはんげんぱつ新聞では、原告団共同代表の大石光伸さんにトップ記事を書いてもらった。

 今までの原発訴訟の判決は避難計画の不備を理由にしてこなかったわけだから、東京高裁が同じ理屈を取ればひっくり返されるだろう。ただ、福島原発事故で非常に多くの人々が長期間の避難生活を強いられる経験をした今、そんなことをすれば世論的な反発は必至だ。

 避難計画の策定義務がある三十キロ圏十四市町村の「実効性ある」計画がそろった上で、立地・周辺六市村と県の同意を全て取り付けて再稼働まで持って行くのはかなり難しいと思う。原電がどこまで「本気」かも分からない。無理して動かしたところで、ちょっとしたトラブルでも起こせば会社にとってマイナスが大きい。このままたたんでしまった方がいい。(聞き手・宮尾幹成)


<にしお・ばく> 1947年、東京都生まれ。東京外国語大を除籍後、広告制作会社に勤務。電力危機を訴える広告に疑問を持ったことから、原発専門のジャーナリストに。故・高木仁三郎氏を中心に設立された原子力資料情報室に78年ごろから参加し、現在は共同代表。近著に「反原発運動四十五年史」(緑風出版)。


写真詳細、元記事は>><東海第二原発 再考再稼働>(33)高裁逆転なら世論反発 はんげんぱつ新聞編集長・西尾漠さん(74)2021.7.30. (東京新聞)


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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

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