【東京】政府・日銀は31日、一段の円高阻止を目指し、外国為替市場で新たな介入を実施した。安住財務相が記者団に明らかにした。円高で日本経済に悪影響が出るとともに、国内の主要な輸出セクターが圧迫されている。市場では1週間以上にわたり、介入観測が流れていた。
日本の当局が円高阻止のために外為市場で介入を実施したのは8月4日以来。
今回の介入前にアジア市場で、ドルは円に対し1ドル=75.31円と、第二次世界大戦以降で最安値を付けていた。
日本の政府当局者と企業幹部らは、円高による輸出企業への圧迫とデフレが進むことによる日本経済への打撃について強い懸念を繰り返し表明してきた。政府は最近、円高の影響の緩和を目指す一連の政策を実施したが、大手輸出企業は円安誘導に向けた一層の政策を求め、政府に対する圧力を強めていた。
安住財務相はこれまで、円高に関し必要な場合には当局は「断固とした措置」を取ると繰り返し表明。同相は円上昇の主因として投機筋を批判していた。同相はこうした投機筋は、緩やかな拡大ペースにとどまる日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映していないとの見方を示していた。
日銀は27日に開いた金融政策決定会合で、円の下押しを目指し、国債など資産の購入原資となる基金の規模を従来の50兆円から55兆円に引き上げた。日銀の白川総裁は円高がその決定の理由の1つだと、円高に特に言及していた。