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【深層レポート】戸上哲也: 安倍総理と民放の「放送法戦争」にNHKが気を揉む深い事情 2018.5.13.(現代ビジネス)
【深層レポート】戸上哲也:安倍総理と民放の「放送法戦争」にNHKが気を揉む深い事情 2018.5.13.(現代ビジネス)


自らの意に沿うテレビ局を作りたいとの考え

首相の「民放解体」に向けた本気度

「おたく(=日本テレビ)はそれほどでもないが、テレ朝やTBSのワイドショーは、事実確認もしないでウソの情報を平気で垂れ流している。放送法では『政治的公平を守る』なんて書いてあるけど、全然守られていない

「インターネットの普及で放送と通信の融合がどんどん進んでいるのだから、放送に関する規制も見直す必要がある。その中で、放送法についてもゼロベースで議論した方がいい」

政府の規制改革推進会議では、「NHKを除く放送事業者の規制は通信事業者と同様にする」とNHKを規制緩和の対象から外す方向で議論されており、同時にNHKが望む放送の常時同時配信は認める方向になっている。つまり、今の政府の放送規制撤廃の動きでは、NHKだけが例外扱いされ、優遇されている。


□ 発端となった「安倍・大久保会談」の内幕

戦前は華族の邸宅が点在し、今もホテルや大学の敷地内に、旧皇族の洋館や江戸時代の大名屋敷が残る東京・高輪。

ノーブルな雰囲気の漂う一角に昨年、経営難の東芝から日本テレビが買い取った「高輪館(旧・東芝山口記念会館)」がある。

旧三井財閥ゆかりのその瀟洒な洋館に、今年3月のある晩、安倍晋三首相の姿があった。会食の相手は、日本テレビ社長で日本民間放送連盟(民放連)の次期会長に内定している大久保好男である。

この席で、一時話題に上った放送法改正をめぐる議論が交わされたことは、すでに新聞・雑誌でも報じられている。

しかし、そこで安倍首相と大久保氏が交わした稀にみる「激論」の詳細、そしてその結果、いまNHKが熱望している「テレビ放送のインターネット常時同時配信」の実現が危機に瀕する事態へつながったことは、あまり知られていない。


□ 安倍首相の「失言」

この日の安倍首相と大久保社長の会食には、政治部記者時代から首相をよく知る日本テレビの粕谷賢之・報道解説委員長も同席し、いたって和やかに始まった。

だが、放送と通信の融合時代の放送局のあり方」、つまり「テレビとインターネットの融合」に話題が移ると、場の雰囲気は次第にとげとげしいものになっていったという。





おたく(=日本テレビ)はそれほどでもないが、テレ朝やTBSのワイドショーは、事実確認もしないでウソの情報を平気で垂れ流している。放送法では『政治的公平を守る』なんて書いてあるけど、全然守られていない

安倍首相はこうひとしきりテレビ批判を展開した上で、踏み込んだ。

「インターネットの普及で放送と通信の融合がどんどん進んでいるのだから、放送に関する規制も見直す必要がある。その中で、放送法についてもゼロベースで議論した方がいい」

安倍首相が一方的にまくし立てるのを聞いていた大久保氏は、反撃した。

経済合理性ばかりを優先させて、放送と通信を一緒に考えてもらったら困る。いまのような放送法があるから、放送はネットと違って自制心が働いているんです。それに、大震災のような緊急時には、採算を度外視して災害報道を優先させ、国民の命と暮らしを守っている

このようなことを返したという。これに安倍首相が「災害報道はNHKがきちんとやるから大丈夫でしょう」などと口を挟むと、大久保氏は「いまは災害報道も日本テレビが一番ですよ。NHKを観る人なんて、あまりいませんと気色ばんで応酬するなど、やりとりは次第にエスカレート。

そして、「災害の時にはやっぱりみんな、NHKを見ていますよ」と反論した安倍首相が、続けてこう決定的な一言を口にした。

「大久保さんがうちのオヤジの番記者だった時だって、スクープ合戦ではだいたいNHKが勝っていたじゃないですか」

この首相の発言には、少し説明が必要だろう。

大久保社長は、読売新聞の政治部出身。政治部記者時代は、自民党安倍派(=現在の細田派)の担当が長く、安倍首相の父親の安倍晋太郎氏が自民党幹事長を務めていた頃、番記者を務めていた。

このとき安倍首相は、すでに神戸製鋼のサラリーマンを辞めて父親の秘書になっていた。そのため、記者として永田町の現場を走り回っていた大久保氏の仕事ぶりを知悉しているのだ。

安倍首相のこの一言は、大久保氏の逆鱗に触れる「失言」だった。現在は民放の雄・日本テレビの社長にまでのぼりつめた人物に対して、「取材競争でNHKにいつも負けていた記者」と後輩の前で暴露されたに等しい発言だったからだ。

プライドをいたく傷つけられたのか、大久保氏は「そんなことはありません!」と強い口調で反論したという。

その後、話題は放送と通信の融合の問題に戻ったものの、大久保氏が「外資による株保有の規制まで外したら、中国資本に放送局を乗っ取られる」と懸念を示すと、安倍首相は「そこは方法を考えるが、いずれにせよ規制緩和は時代の要請だ」とやり返すなど、「ケンカ腰」の議論が続いたという。

大久保氏の民放連会長内定のお祝いも兼ねたはずの会食は、気まずい雰囲気のまま終わった(後日、上記の内容に関して日本テレビに取材を申し入れたが、「お答えできません」とのことだった)。


□ 読売「安倍政権批判」の裏側

この会食の後、大久保社長は古巣・読売新聞のドンである代表取締役主筆・渡辺恒雄氏のもとを訪れ、「安倍首相は、放送法4条を撤廃しようとしている。放送の信頼性を損なう暴挙であり、何としても阻止する必要がある」と訴えたという。

その結果、一貫して親安倍政権の立場を打ち出してきた読売新聞が、社説で「(放送法4条撤廃は)テレビ番組の質の低下を招き、国民の『知る権利』を阻害する懸念がある。安倍首相が目指す放送事業見直しは問題が多いと言わざるを得ない」と厳しく批判するなど、突如として政権批判を紙面で展開し始めたのである。

これに慌てた安倍首相は、3月30日にプロ野球・巨人の開幕戦を渡辺氏と一緒に観戦した際や、4月2日にメディア界の重鎮たちとともに渡辺氏と会食した時を捉えて、「私は放送法4条撤廃なんて言ったことはない。今のテレビのワイドショーなどは問題が多いし、ネットとの融合時代に入ったこの機会に放送法をイチから見直したらどうだろうか、という話をしただけです」と釈明した。

これには渡辺氏も「確かに日テレの番組を見ても酷いものがあるからな。見直しを進めるのはいいんじゃないか」などと理解を示したという。

一連の会談の後、安倍首相は周囲に「ナベツネさんには理解を得た。僕は放送法4条なんて言っていないのに、大久保さんは『安倍は4条を撤廃すると言っている』と触れ回っている。まあ、大久保さんもナベツネさんをおさえれば、もう大丈夫だ」と漏らしたという。

実際、読売新聞の論調は、1週間程度で概ね政権に親和的な路線に戻っている

放送法4条撤廃に安倍首相が言及したかどうかについて、大久保氏と安倍首相の言い分には食い違いがある。だが、首相が「この際、放送に対する規制を定めている放送法を見直したい」と発言したことを受けて、大久保氏が放送業界の危機感を煽るため、もっとも注目を得やすい話題として「安倍は4条撤廃を考えていると言った」と言い回ったとすれば合点がいく。

事実、安倍首相は、周辺から「なぜ放送法改正を取り上げようと思ったのか」と問われた際、昨年10月の衆院選直前、サイバーエージェントとテレビ朝日の出資によるインターネットテレビ「Abema TV」に初出演した時のことに触れて「言いたいことを正確に伝えてくれて非常に良かった。ネットテレビの方がよっぽどまともだ」などと漏らし、自らの意に沿うテレビ局を作りたいとの考えを滲ませてもいる。

「4条撤廃」と口にせずとも、言葉の端々にそれは滲み出ていたのだから、「大久保氏は嘘をついている」(安倍首相側近)というのは言い過ぎだろう。

大久保氏は、安倍首相の「民放解体」に向けた本気度を感じ取り、井上弘・民放連会長(=TBS名誉会長)ら民放連の関係者にも直接、間接に反対機運を盛り上げるよう働きかけを行ったという。


写真詳細、記事の続きは上の タイトルから元記事へ>>



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テーマ:報道・マスコミ - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
NHKの切り取り方も政権寄りで果たして公共放送と言えるのか・・受信料という名目の税金で偏向放送は納得いかないんですが、災害報道がありますからね。日テレの方が~はナイでしょう。これは安倍氏珍しく本当のことを言ってます。
この記事での日テレは政権に対等に向き合ってる印象がありますが、政権広報メディアの雄だと思いますよ。これ以上御用放送局を増やす必要はありません。
2018/05/20(日) 14:54:52 | URL | ktpage #-[ 編集]
ktpageさんへ:正力松太郎の会社ですからね。。。
ktpageさん、こんばんは。

> NHKの切り取り方も政権寄りで果たして公共放送と言えるのか・・受信料という名目の税金で偏向放送は納得いかないんですが、災害報道がありますからね。日テレの方が~はナイでしょう。これは安倍氏珍しく本当のことを言ってます。
> この記事での日テレは政権に対等に向き合ってる印象がありますが、政権広報メディアの雄だと思いますよ。これ以上御用放送局を増やす必要はありません。

災害情報のためだけでNHKのあり方を許すというわけにもいかないので、その辺りはきちんとしないと、と思います。
税金からの補助金がある上に視聴料も強制的に聴取して、偏向報道をしているわけで、、、それでも視聴料を払っている視聴者にも大きな責任がありますね。
日テレ|読売は、なんせ正力松太郎の会社ですから、それこそこちらのフォックス・ニューズみたいなものです。
ただ、この記事は二人のメンツ問題であまり報道されていない部分に触れているのでアップしてみました。
ktpageさんのようにまともに反応してくださる方がいるのは嬉しいことです。😊
これからもよろしくお願いしますね。
2018/05/20(日) 17:56:10 | URL | yokoblueplanet #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2018/05/23(水) 15:49:16 | | #[ 編集]
5/23 の鍵コメさんへ:日テレも政権寄りですが。。。
5/23 の鍵コメさん、こんばんは!

> yokoさん こんにちは!
> 事情は薄々感じていましたが、詳しく書いて頂き良く分かりました。

同じ穴のムジナが、メンツの張り合いでぶつかっていたような内容ですが、それでもあまり表立って騒がれない内容が出ていたのでアップしてみました。
報道の質を考えると、税金から補助を受け、その上に強制的に視聴料を聴取する報道組織のやり方には納得いきません。
視聴者一人一人が覚悟して対処しないと、いつまでも大本営発表局のままで、大切な情報が一番大切な人々に届かないままになります。そして結果として選挙結果が左右されますので、少しでも状況を理解した有権者ははっきりと意思表示をするべき時だと思います。😊
2018/05/24(木) 11:28:33 | URL | yokoblueplanet #-[ 編集]
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