「作家の瀬戸内寂聴さん(89)らが二日、東京・霞が関の経済産業省前で、脱原発を訴える座り込みをした。関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働に反対する市民らが続けている集団ハンストに加わり、再稼働を進める政府の姿勢に抗議した。日没まで続ける予定。
午前九時すぎに紫色の法衣姿で現れた寂聴さんは、胸元に「再稼働反対」の鉢巻きを留めて座り、「九十のばあさんがここに座ったら、マスコミに取り上げられ、それを見た若者が張り切って行動してくれると思って」と話した。
今月十五日、満九十歳の誕生日を迎える寂聴さんはさらに、「これまで生きてきて、福島の原発事故のような恐ろしいことは戦争以外に一度もなかった。政府は再稼働をどうして焦るのか。原発事故は人災であり、同じことを繰り返しては子どもや若い人たちがかわいそうだ」などと訴えた。
作家の沢地久枝さん(81)とルポライターの鎌田慧さん(73)も、座り込みに参加。全国で一千万人の脱原発署名を集める運動を一緒に呼び掛けてきた作曲家の坂本龍一さんからの「気持ちは皆さんと一緒です」というメッセージボードを掲げながら、再稼働反対を訴えた。」
2)「原発立地 進まぬ防災」2012.5.2.(東京新聞)
「関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県)で再稼働への手続きが進む一方、避難計画や対策拠点となるオフサイトセンター(OFC)などの見直しが進んでいない。他の原発ではどうなのか、本紙が立地自治体に取材したところ、九州を除く全域で、大幅に対応が遅れていた。政府の対応の遅れが、遅れに拍車を掛けている。(鷲野史彦、福田真悟)
大飯原発の次に手続きが進んでいるのは、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)。
そのOFCは、原発から四・五キロの伊方町役場内にある。大飯のOFCと同様に目の前が海で、放射能対策も不十分、さらに非常用電源はわずか三時間分しかない。福島のような事故が起きれば、使い物にならない可能性が高い。
代替OFCとして原発から十二キロの県施設が予定されているが、ここも海岸から百五十メートルの低地にある。
内閣府の有識者会議の想定では、南海トラフ地震で伊方町には最大一二・六メートルの津波が襲うとされる。抜本的な改善をしないと、拠点すらない状態で対応することになるが、愛媛県の担当者は「代替施設をどうするかは、政府の方針が示されないと決められない」と心もとない。
政府は、原発から三十キロ圏外に指揮機能、少し近い場所に現場対応の拠点を設ける方向を打ち出したが、原子力規制庁が発足するめどはなく、検討は進んでいない。
重点的に防災対策を講じる区域は、現在の八~十キロから三十キロに拡大される予定。これに伴い、避難計画を見直し、住民の内部被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の備蓄を増やすなどさまざまな対応が必要になるが、一向に進んでいない。
表:福島原発事故から1年超、自治体の方再対策は?>>
一方で、「政府の対応を待っていては住民の安全は守れない」と危機感を強めるのは、玄海原発のある佐賀県と、川内(せんだい)原発のある鹿児島県。
既に原発二十~三十キロ圏で暫定的な避難計画を決め、安定ヨウ素剤も独自に確保。両原発のOFCは原発から十キロ以上離れているが、代替OFCとして、佐賀は五十二キロ離れた県庁、鹿児島は二十四キロ離れた県消防学校を使うことを決めた。
積極的に取り組む両県でも、資機材の整備は国費の活用を見込み「国の方針が決まらない現状では、資機材の整備はできない」。自治体独自の対応の限界も見える。
3)「東電値上げ国も責任 公取委申し入れの川口商議所会頭」2012.5.2. (東京新聞)
「東京電力の電気料金値上げは独禁法違反(優越的地位の乱用)に当たるとして、公正取引委員会に是正を求めている川口商工会議所(埼玉県川口市)の児玉洋介会頭(68)が本紙の取材に応じ、「原発事故の責任を東電だけに押し付けている」と国の姿勢を批判した。児玉会頭が経営する鋳物会社(同市)で東電との契約更新を保留し、「無契約状態」で値上げに抵抗する考えも示した。 (大沢令)
児玉会頭は平均17%の値上げについて「燃料費の負担増というが、コスト削減を見込むと10%で対応できるはず」と主張。「福島第一原発事故は国と東電の両方に責任があるのに、国は東電だけの責任にして、管内の企業につけを負わせている」と批判した。
東電埼玉支店によると、四月からの値上げ対象は約三万五千件。このうち、契約更新したのは先月二十六日現在で45%という。
児玉会頭は今後の対応について「公取委の結論待ち」と説明。東電の姿勢に納得できず、契約更新に同意していない会員から相談が相次いでいることも明らかにした。
電気料金が支払われない場合は、検針翌日から三十日を経過すると年10%の延滞利息が加算され、五十日を過ぎると電気の供給を止めることもある。児玉会頭が経営する鋳物会社は、二日に契約更新を迎えるが「値上げに納得できないので、更新するつもりはない」と述べた。
東電埼玉支店は、顧客が値上げに同意せず、契約を保留している事例について「対応を決めていないが、お客さまと協議中に電力を止めることはない」(広報部)としている。
この問題に関し、枝野幸男経産相は「一律かつ機械的に供給を停止することは社会的に許されない」として柔軟で丁寧な対応を東電に求めている。」
4)東電発表に食い違い 「被害否定の福島第二原発も地震で壊れていた」※週刊朝日 2011年5月4・11日合併号
「昨年の東日本大震災で大きな被害はなかったと東電より発表されている福島第二原発だが、その発表と実際の状況は違うと、福島第二原発で働くジャーナリスト・桐島瞬氏は否定する。
* * *
東電関係者は当時の様子をこう語る。
「通信が途絶えてフクイチ(福島第一原発)で何が起きているのかよくわからない状況の中、フクニ(福島第二原発)の人間も原子炉の冷却系などが失われたことに危機を抱いていた。原子炉の温度が上がり、震災のあった夜中には、『注水用のホースを700本用意しろ』との指示が出たほとだ」
まさに、フクニも、危機一発だったのだ。
フクニ内で毎日、震災被害を目のあたりにし、東電の発表する内容が実際の状況と食い違うことがわかってきた。一例を挙げよう。
東電は昨年5月、フクニについて、「3、4号機タービン建屋は被害なし」と断定している。
いまさら、東電の発表をうのみにするかたも少ないとは思うが、階段の壁に紙が貼られ、そこには手書きでこう書かれている。
「2011・3・11(水没)床面より約430cm」
東電の発表では「被害なし」となっている場所に、4メートル以上の浸水があったことが明記されているのだ。
これを東電がどう説明しているか。昨年12月の「福島原子力事故調査報告書(中間報告書)」では、1~3号機タービン建屋の地下で浸水が確認されたことを認めた。だが、今年3月11日に発表した「福島第一原子力発電所この1年」では、「3/4号機タービン建屋は被害なし」と断定し、中間報告書で認めたはずの浸水被害がいつのまにか消えている。
さらに驚くべきことがある。東電が昨年8月に発表した「福島第二原子力発電所 東北地方太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響について」では、この被害が載っているのだが、「淡水の漏えい状況」として、漏水の原因を「サージタンクのオーバーフロー水がオーバーフローしたものと確認」と記載、「地下2階全域に浸水及び浸水跡を確認」している。
しかし、現実は「浸水」というより、「水没」である。タンクの水があふれかえったのはなぜなのか。津波とは無関係と言えるのか。
テーマ:ほっとけない原発震災 - ジャンル:政治・経済
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)